温泉などの大きなお風呂でよく見かける「タオルを頭にのせる・巻く」といった光景に、その意味や効果が気になっている方は意外に多いのではないでしょうか?
この記事では、そんな皆さんの疑問をクリアするために、お風呂でタオルをのせるのがいいと言われる理由や効果的なのせ方などを解説しています。また、お風呂上がりの頭に長時間タオルを巻き続けるときの注意点などもご紹介していますので、これから温泉などの公衆浴場に行く方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者:宇井 千穂 院長(やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原)
元準ミス日本。全日空客室乗務員を経て、皮膚科医としてアトピー性皮膚炎を中心とした皮膚疾患を診療。本や雑誌の執筆をはじめ、web雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修などでも、多方面に活躍の場を広げている。女医+(じょいぷらす)所属。
INDEX
■頭にタオルを長い時間巻き続けるのは控えるのが吉!その理由とは
ドライヤー待ちなどですぐに髪を乾かせないときにおこなう「頭にタオルを巻く」という行動は、温泉などによく行くロングヘアの女性であれば、一度は実践したことがあるのではないかと思います。
しかし、そんなお風呂上がりにタオルを頭に巻くことは、なるべく避けた方がいいとされています。
まずはその理由について見ていきましょう。
◇頭皮環境を悪化させるから
濡れた髪にタオルを巻いて長時間そのままにしておくと、湿った頭皮に雑菌が繁殖することで、しっかり洗ったはずの地肌から不快なにおいが漂いやすくなります。また、濡れ髪によって生じる頭皮の冷えは、健康な髪を目指すうえで欠かせない血の巡りも妨げてしまうのです。
その結果、髪に酸素や栄養が行き渡らなくなることで、髪のハリコシがなくなったり、かゆみなどのトラブルが生じやすくなったりします。
◇キューティクルの状態も悪化しやすくなるから
濡れ髪にタオルを巻きつけて放置すると、開いたキューティクルから髪内部のタンパク質や、リンスやコンディショナーで与えた美髪成分などが流れ出し、結果として髪のツヤが損なわれることになります。
毎日続けていると、枝毛や切れ毛が増え、日常のケアだけでは修復がむずかしくなるため注意しましょう。
このように髪と頭皮環境の両方に悪影響を与える「お風呂上がりにタオルを巻く」ことは、公衆浴場のドライヤー待ちなどで必要性に迫られたときだけおこなうようにしてください。
また、キューティクルへの影響を考えても、なるべく早く髪を乾かすのが理想であるといえます。
■【入浴中】お風呂で頭にタオルをのせるのがいいとされる理由
髪の長い女性の場合、「タオルを頭に」というとお風呂上がりのイメージが強いかと思います。ですが、入浴中に頭にタオルをのせると、次のように意外なメリットがあると言われています。
◇お風呂でタオルを頭にのせる効果
入浴中にタオルを頭にのせる最大の利点は、のぼせや立ちくらみがしにくくなることです。
温泉などの湯船に浸かると、水圧のかかっている首から下の血管がひろがることで、肩から上に血液が供給されにくくなります。
その状態で突然立ち上がると、脳が酸素不足に陥ることで、立ちくらみが生じやすくなるのです。また、逆に気温が高い環境で脳に血液が集まりすぎた場合、のぼせの原因になると言われています。
こうした状況下で頭の上にタオルをのせると、冷えや緊張による筋肉の収縮が和らぎます。その結果、頭の血管がひろがり、お湯に浸かっている部位とのバランスがよくなります。
◇頭にのせるタオルは冷たいもの?熱いもの?
頭にのせるタオルの温度は、季節によって異なります。
寒暖差によって心臓などに負担のかかりやすい冬などの寒い時期は、全身のバランスを整える意味で、熱めのタオルにするのが理想です。
これに対して、のぼせの生じやすくなる夏場は、冷たいタオルの選択がおすすめとなります。
■入浴中の頭にタオル。その効果的なのせ方とは?
温泉などで多くの人がおこなっている「小さく折りたたんだタオルを、頭にちょこんと軽くのせる」というのは、健康面から考えると間違いです。タオルが不安定になってしまうこののせ方では、首まわりの筋肉が連続的に緊張することで、本人も気づかないうちに肩こりが起こりやすくなってしまいます。
そのため、リラックスして入浴するには、頭全体を覆うようなイメージで濡らしたタオルをのせる方法が最もおすすめです。こののせ方を実践すれば、「いつかタオルが落ちるのではないか?」といった緊張をすることもなくお風呂に浸かれると思います。
◇頭にのせるタオルはしっかり絞った方が良い?
のぼせや立ちくらみを防げるメリットを考えると、頭に垂れてこない程度の水分を残したタオルを頭にのせるのが理想です。ただし先述のとおり、頭皮や髪を湿らせたままにしておくと、雑菌などが繁殖しやすくなりますので、この方法でタオルを使った後は、早めにドライヤーで髪を乾かすようにしてください。
■まとめ
お風呂でよく見かける頭にタオルを巻く・のせるといった方法には、意外な効果と注意点があることがわかったかと思います。
まず、髪を洗ったお風呂上がりにターバンのようにタオルを巻くときには、頭皮の雑菌繁殖やキューティクルから髪に良い成分が流れ出さないうちに、タオルを外してドライヤーを使うようにしてください。
一方、温泉などで頭にタオルをのせることは、お湯に使っている首から下と頭の温度差などによって起こるのぼせや立ちくらみになりづらくするメリットがあります。頭部が冷えやすい真冬の露天風呂などでは、熱めのタオルを使ってください。これに対して頭に熱のこもりやすい夏場は、冷たいタオルをのせるのが理想となります。
このように、身体のメカニズムや頭寒足熱にもとづく考え方でタオルを活用すると、温泉に入るメリットも更に高まることでしょう。