ほとんどの方が、「お風呂は毎日入るもの」と習慣づいていることでしょう。でも、妊娠中の方だと“普段通り”というわけにはいかないことも。
この記事では、妊娠中の方のお風呂の入り方や、注意しておきたいポイントをご紹介します。
この記事の監修者:今井 愛 先生
麻布十番まなみウィメンズクリニック院長。産婦人科専門医、医学博士。女医+(じょいぷらす)所属。
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■妊娠中でも普通にお風呂に入って大丈夫?
妊娠中でも、お風呂に入ること自体は問題ありませんが、急な体調の変化が起こりやすいこともあるので、注意したいですよね。
お風呂は、体を温めて血行を促進し、リラックス効果でストレス軽減にもつながりますので、以下のポイントに注意してバスタイムを上手に過ごしましょう。
◇妊娠初期の入浴は特に注意を。
妊娠初期はつわりなどで、特に体調の変化が起こりやすい時期となり、子宮の血流が促進されすぎると、子宮の収縮が活発になって赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性も。
また、妊娠中は普段よりも体が疲れやすくなりますので、できるかぎり負担を減らして入浴することをおすすめします。
◇入浴を避けたほうがいいときは?
次に紹介するような症状が出ているときは、入浴を避けるほうがいいでしょう。
普段はあまり感じませんが、入浴には意外と体力が必要です。少しでも不調を感じたときには無理をせず、蒸しタオルで首筋を温めたり、体を拭いたりする程度にしておくのがおすすめです。足湯でも体は温まりますので、体調をみながら変えてみましょう。
・出血や茶色のおりものが出ているとき
妊娠初期は、着床や妊娠検診の影響、赤ちゃんが成長のために子宮が拡張することによって傷ができ、少量の出血や茶色のおりものが出ることがあります。このときに湯船に浸かると、傷口から細菌が入り、感染症のリスクが高くなりますので、出血や茶色いおりものが出た場合は湯船に浸かるのは避けて、シャワーのみにしておきましょう。
・発熱や消化器官が不調なとき
つわりがひどい場合や下痢など消化器官の不調がある場合、発熱・風邪の疑いがある場合には、症状の悪化や長引く可能性がありますので、湯船に浸かるのは避けたほうがいいでしょう。また、体のだるさや不調を感じるときも、念のため湯船につかるのは控えるのがベターです。
■妊婦さんにおすすめの入浴方法
妊娠さんにとって冷えは大敵!シャワーは体が冷えやすいので、体調のいいときはできるだけ湯船に入って体を温めましょう。ここでは、おすすめの入浴方法などをご紹介します。
◇体への負担を減らす入浴のポイント3つ
体への負担を減らすためには「お湯の温度」「水位」「入浴時間」に注目しましょう。
お湯は熱すぎると、めまいや立ちくらみ、脱水症状などを引き起こすことがありますので、38~40度のややぬるめがおすすめ。湯船の水位は半身浴ぐらいにすると、おなかや心臓への負担を減らすことができますよ。
入浴時間は長くしすぎず、肩までしっかり浸かる場合は10分、半身浴の場合は長くても20分までにとどめましょう。
◇入浴剤やアロマもおすすめ!
入浴剤やアロマなど、好きな香りに包まれながらお風呂に浸かると、さらにリラックス効果を高めることができます。ただし、妊娠中は肌が敏感になりやすいので、妊娠中も使用OKな肌に優しい低刺激のものを使うのがおすすめです。
また、アロマは妊娠中の症状や心と体の変化をケアできますが、妊娠中は過剰に体が反応してしまうことがあるので、精油の量には気をつけましょう。これは、普段からアロマを楽しんでいる方も同様です。妊娠初期の方は特に敏感ですので、直接肌に触れるような使い方は避けましょう。
ここで、お風呂のリラックス効果をより高めてくれるアロマオイルの使い方を3パターンご紹介します。
・芳香浴
この方法は、香りを空気中に拡散させることで心と体をリラックスさせますので、肌にオイルが直接触れることがなく妊娠初期の方にもおすすめ!
アロマライトやディフューザーを使って、換気をしながら、穏やかに香る程度にするのがポイントです。
・アロマバス
精油を垂らした湯船に浸かることで成分が皮膚から吸収されるので、アロマの効果がより高くなります。天然塩やはちみつなどを精油に溶かして入れることで肌への刺激も少しマイルドになりますが、精油が肌に触れるので妊娠初期のころは避けて、6か月以降から1滴ずつで試しましょう。
■妊娠中のお風呂はここに注意!
心身がリラックスするお風呂ですが、妊娠中には気を付けたいことがあります。
◇転倒をさけるため、滑り止めマットを活用しよう!
お風呂では浴槽も洗い場も、とても滑りやすくなっていますので、赤ちゃんのためにも転倒には特に注意したいところ。
妊娠後期になるとおなかが大きくなり、足元が見えづらいうえに、バランスもとりづらくなります。浴槽に入るときも、何かにつかまりながら片足ずつ慎重に持ち上げて入るようにしましょう。市販の滑り止めマットなどを活用して、お風呂場を安全な環境にしていくのもいいですね。
◇お湯はぬるめに、長湯は避ける
先ほどもお伝えしたように、お風呂は意外に体への負担が大きいものです。妊娠中は特に体が疲れやすい状態なので、お湯の温度や入る時間に気を付けましょう。
熱いお風呂や長湯は、貧血や立ちくらみを起こす場合がありますので、できるだけ避けることをおすすめします。
◇湯冷め、冷えに注意
お風呂あがりは湯冷めしないようにきちんと水気をふき取り、早めにパジャマを着るようにしましょう。
◇おなかを圧迫しないように注意
お湯の量は、おなかや心臓に負担をかけないように、少なめにするのがおすすめです。
洗い場のイスは高めのものを使うと、シャンプーのときなどに前かがみにならずに済みますよ。
■まとめ
妊娠中、特に初期のころは急な体調の変化やつわりの症状などがあるので、体調に合わせて無理のないように入浴しましょう。
入浴は時には体への負担も大きくなるので、できるだけ負担を軽減するように、お湯は38~40度ほどのぬるめで、10~20分ほどの短時間で済ませるのがポイントです。また、転倒防止やおなかへの圧迫を防ぐために、滑り止めマットや高めのイスなどのアイテムを利用するのもおすすめ!
心身をリラックスさせてくれるお風呂。ぜひ、安全面と体調に注意しながらバスタイムを楽しんでくださいね。