人によって、好みのお風呂の温度はさまざまです。熱いお湯に浸かるのが好きな人もいれば、ぬるめのお湯に浸かるのが好き、という人もいます。しかし、身体のことを考えると適切なお風呂の温度は何度なのか、ご存知でしょうか?実は、お風呂の適温はそのときの体調や季節、入浴で得たい効果によって異なります。
そこで今回は、最適なお風呂の温度の調べ方について紹介します。温度によって変わるお風呂の効果や、季節・目的別でおすすめのお風呂の温度も併せてご紹介致しますね。
この記事の監修者:川崎 加織 先生
皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本抗加齢医学会専門医。
「体の内外から美しくなれるクリニック」をコンセプトに一般皮膚科診療だけでなく、美容医療、頭髪治療なども行っている。またweb雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修などでも、多方面に活躍の場を広げている。
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■入浴の種類と効果について
入浴の種類は、熱めやぬるめなど、お風呂の温度によって分類されています。ここでは、自宅でも楽しめる代表的な3つの入浴の種類を、それぞれの温度と効果とともにご紹介。下記を参考にして、そのときの体調などを鑑みながら、自分に合った入浴法を探してみましょう。
◇微温浴について
37〜39度のぬるめのお湯での入浴を、微温浴と言います。体温より少し高い程度なので身体への負担が少なく、最もリラックス効果の高い入浴方法と言われています。精神・神経の鎮静効果もあるので、イライラやストレスの解消にも効果的。
さらにぬるめのお湯は、緊張を緩める副交感神経という自律神経を刺激することで心拍数を下げ、血圧も低下させます。身体の働きをのんびりさせることができるので、身体の内側からリラックスできるのです。
また、ぬるめだからこそゆっくりとした入浴が可能になり、20分以上かけてじっくり身体を温めることができるのも特徴です。お風呂の温度と体温は近ければ近いほど筋肉のコリはほぐれやすくなるので、身体の芯から温まることのできる微温浴は、疲労回復にも効果的です。
◇中温浴について
中温浴は、39〜42度のお湯で入浴することを言います。最も一般的に使用されている温度なので、家ではこの温度で入っているという方も多いでしょう。微温浴よりも身体を温められるのが特徴で、適度な発汗作用と皮膚洗浄作用があるのでデトックス効果が期待できます。
お湯の温度が39度程になると、神経を興奮状態にする交感神経から、緊張を緩める副交感神経へと切り替わります。心拍数や血圧を低下させていた微温浴に対し、中温浴は心拍数や血圧が上昇します。身体の血流が良くなることにより、酸素や栄養分が末端まで行き渡り、体内の老廃物が除去されて肩や腰のコリを解消する効果が得られます。また、血流促進には新陳代謝を上げる効果も期待できます。
高温すぎないので身体の油分が溶け出さず、お風呂上がりに乾燥しづらいのもポイント。入浴中は交感神経が刺激されますが、お風呂の後には体温が下がって副交感神経が刺激されるので、寝付きが良くなるとも言われています。
◇高温浴について
銭湯などで見られる42〜45度の熱めのお湯での入浴は、高温浴と言われているもの。交感神経が刺激され、心拍数や血圧が上昇します。交感神経を刺激すると精神・神経が興奮状態になるので、身体をスッキリとさせたいときにおすすめ。特に、朝目覚めが良くないときや、仕事前に気合いを入れたいときにぴったりの入浴法と言えるでしょう。
ただしお湯の温度が熱い高温浴には、身体の油分が溶け出してしまうというデメリットもあるので注意が必要です。油分が溶けると入浴後に乾燥してしまうので、保湿ケアをおこなうようにしましょう。
また、高温浴には胃液分泌を抑制する効果もあります。食事前には問題ありませんが、食後に高温浴をする場合は消化が悪くなってしまうので、入るタイミングに注意しましょう。
■【季節・目的別】おすすめのお風呂の温度
お風呂の適温は、季節や入浴の目的によって異なります。以下を参考にして、そのときに最適なお風呂の温度で入浴を楽しみましょう。
◇季節別のおすすめのお風呂の温度
大きく分けて春〜夏はぬるめのお湯に、秋〜冬は熱めのお湯に入るのがおすすめです。
- 春:37〜39度の微温浴がおすすめ。微温浴によるリラックス効果は花粉症にも効果的で、症状を軽減してくれます。
- 夏:37〜39度の微温浴がおすすめ。冷房がついている室内と暑い室外とを行き来する機会の多い夏は、自律神経が乱れがちになります。自律神経を整える働きのある微温浴で、1日を締めくくりましょう。
- 秋:39〜42度の中温浴がおすすめ。夏に受けた紫外線ダメージをケアするために、新陳代謝を上げる効果のある中温浴はぴったりです。
- 冬:39〜42度の中温浴か、42〜45度の高温浴がおすすめ。寒い季節なので、熱めのお風呂で身体を芯から温めましょう。ただし、熱いお湯に長時間入るのは危険なので、入浴時間は20分程度にしてください。
◇目的別のおすすめのお風呂の温度
目的によっても、おすすめのお風呂の温度は異なります。ここでは4つの目的に適した温度をご紹介します。
- 安眠したいとき:リラックス効果が得られる37〜39度の微温浴がおすすめ
- ストレスを解消したいとき:身体が芯から温まる39〜42度の中温浴が、気分もスッキリするのでおすすめ
- 肌を美しくしたいとき:適度な発汗作用とデトックス効果の得られる39〜42度の中温浴がおすすめ
- 疲れを解消したいとき:筋肉疲労がとれる39〜42度の中温浴がおすすめ
■体温によっても変わる!最適なお風呂の温度とは
最適なお風呂の温度は、自身の体温によっても変化します。体温が低い人は40度であっても熱く感じますし、身体に負担をかけることにもなりかねません。特に発熱しているときは、いつもと同じ温度のお風呂だと体調を悪化させてしまうことも。
自身の体温を計測したら、ぬるめが好きな人は体温よりも2〜3度高く、熱めが好きな人は体温よりも5〜6度高くなるようにお風呂の温度を設定しましょう。
■まとめ
お風呂の温度には好みがありますが、身体にかかる負担のことを考えると冷たすぎたり熱すぎたりするのはNG。自分の体温よりもプラス3度、など自分の体温を考慮してお風呂の温度を決めましょう。また、季節や目的によって温度を変えるのもおすすめです。今回ご紹介した3つの入浴の種類を試してみて、自分に合った入浴法を見つけてみましょう。