髪の状態には、食事が非常に大きく影響します。長きにわたって薄毛で悩んでいる方は、食事習慣が原因になっているかもしれません。
この記事では、薄毛を助長する食事習慣や、予防に役立つ食品、栄養素についてご紹介します。正しい食事習慣を身につけ、薄毛ケアに取り組みましょう。
この記事の監修者:川崎 加織 先生
皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本抗加齢医学会専門医。
「体の内外から美しくなれるクリニック」をコンセプトに一般皮膚科診療だけでなく、美容医療、頭髪治療なども行っている。またweb雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修などでも、多方面に活躍の場を広げている。
INDEX
■薄毛を助長する食事習慣とは?
薄毛の主な原因には、以下の3つがあげられます。
・頭皮の環境悪化
・頭皮への栄養不足
・ホルモンバランスの乱れ
髪を健康に保つには、まず、髪が成長するための「頭皮」を健康に保つ必要があります。
脂肪や糖の多い食事は、頭皮から過剰に皮脂を分泌させ、毛穴の詰まりの原因となります。毛穴の詰まりは当然、頭皮環境の悪化を招きますので、薄毛を助長してしまいます。また、カフェインや激辛の料理など、刺激の強いものも汗の量が増え、皮脂の過剰分泌につながります。
髪を成長させるためには頭皮へしっかりと栄養を行き届かせる必要があります。必要な栄養素の多くは食事から摂ることになるため、食事習慣には十分気を付けておかなければいけません。
過度な食事制限による栄養不足もありますが、それ以外にも、ほとんどの場合は血行不良によって頭皮に栄養が行き届かないことがトラブルの原因にあげられます。
食事から摂取した栄養素や酸素は血液に乗って身体全体に行き渡りますが、血行が悪くなるときちんと栄養を届けることができません。髪や爪など身体の末端部分は、最後に栄養が届けられる部分ですので、血行には特に気を付けておきましょう。
「血行を促進するためにしっかり食べよう!」と、摂取することばかり気を付けてしまいがちですが、実は過剰摂取にも注意しておかなければいけません。
塩分の多い食事は、高血圧や腎機能低下を引き起こし、これによって血行が悪くなってしまうことがあります。また、お酒の飲み過ぎにも注意が必要です。
顔が赤くなったり身体が熱くなったりと、一見すると血行が良くなるように感じますが、アルコールを分解するために肝臓へ血液が使われるため、結果的に血行不良を招いてしまうのです。肝臓に負担がかかると、髪の成長に必要な栄養素が損なわれて薄毛を助長することになります。
髪や細胞の成長には、ホルモンが欠かせません。必要な栄養素を必要なところへ届けるのを助ける働きをしますが、ホルモンバランスが崩れると正しく作用しなくなってしまうのです。
では、具体的にはどういった食事習慣が当てはまるのでしょうか?以下に、薄毛を助長する食事習慣の例をいくつかあげました。当てはまる方は薄毛の原因を自らつくり出してしまっている状態ですので、ぜひ、ご自身の食事習慣を見直してみてください。
◇限度を超えたダイエット
過剰な食事制限によるダイエットは、必要な栄養素がきちんと摂取できず薄毛を助長させてしまうことがあります。食事から摂取した栄養素は、まず、“生きるため”に使われます。筋肉や骨の維持、体温調整や内臓を動かすために優先的に使われますので、頭皮のための栄養素が少なく、あるいはなくなってしまいます。
◇食べ過ぎ、飲み過ぎ
食べ過ぎは、消化のために血液が使われるため血行不良を引き起こします。また、上記であげたように脂質、糖、刺激物は皮脂の分泌を増やして頭皮環境の悪化を招きます。また、塩分やアルコールの過剰摂取で血流が悪くなることもあります。
◇外食中心の食事や高カロリーの食事
食事習慣が外食中心になると、どうしても栄養が偏りがちです。脂質や糖、刺激物や塩分の摂取量が増え、皮脂の分泌が増えたり血行が悪くなったりと頭皮に悪影響を及ぼしてしまいます。また、肥満も血行不良を引き起こす原因となります。
◇睡眠直前の食事
髪の成長に大きく影響する成長ホルモンは、夜、寝ている間に分泌されます。髪も寝ている間に作られ成長しますので、このときにきちんと頭皮に栄養や酸素が行き届けられなければいけません。しかし、睡眠の直前に食事を摂ると、消化のために血液が使われるため、頭皮への血流が少なくなります。
■薄毛予防のために食事で摂取すべき成分を紹介!
前の項目では、薄毛を助長してしまう食事習慣について理解を深めました。では今度は、薄毛予防のために積極的に摂取するべき栄養素や成分について見ていきましょう。
◇たんぱく質
髪の毛の主成分は、ケラチンという成分で18種類のアミノ酸からできています。その中でももっとも多く含まれているシスチンは、身体の中では生成できない必須アミノ酸です。したがって、食事から積極的に摂取して補う必要があります。
たんぱく質は、いわば、“髪の原料”ですので、1日150グラムを目安にしっかりと摂取していきましょう。たんぱく質を多く含む食品には、以下のようなものがあります。
・魚類
・肉類
・卵
・乳製品
・大豆製品
魚類では特にマグロが、肉類では豚肉や鶏むね肉が含有量の多い食品です。コレステロール値などが気になる方は肉類よりも魚類を多めに摂るように心がけると良いでしょう。また、大豆には、女性ホルモンと似た働きをする「大豆イソフラボン」が含まれており、薄毛予防に効果が期待できます。
◇ビタミン類
ビタミン類は、たんぱく質の代謝を助ける働きがあります。特に、ビタミンA、ビタミンEは血行促進に、ビタミンB群は新陳代謝促進に効果が高いので、薄毛予防に適しています。
ビタミンA、Eは抗酸化作用があり、髪や頭皮の老化の原因となる過酸化脂質・活性酸素の生成を抑えます。血をサラサラにし血管の老化も防いでくれるので、血流の流れが良くなることが期待できます。ただし、ビタミンAは身体の中に蓄積されやすい性質があり、過剰に摂りすぎると身体に悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
ビタミンB群は、たんぱく質が生成される過程でも使われる重要な栄養素です。ターンオーバーの正常化を促し、頭皮を健康に維持するのに役立ちます。
ビタミンAが多く含まれている食品には、緑黄色野菜やレバー、うなぎ、豚肉、鶏肉といったものがあります。豚肉やレバーには、ビタミンB群も豊富です。ビタミンEは、大豆やごま、アーモンドなどに多く含まれています。
◇ミネラル
ミネラルが不足すると、貧血を引き起こす原因となります。ミネラルは、普段の食事だけではどうしても不足しがちなため、意識して食事に取り入れるべき栄養素と言えます。
ミネラルの中でも特に、亜鉛は薄毛予防に効果の高い成分とされています。亜鉛は、髪の主成分であるケラチンの合成に欠かせない成分です。ホルモンのバランスを整える働きもありますので、薄毛予防では忘れてはならない成分の一つなのです。
■食事を変えても薄毛予防効果が出ない人の特徴!?
薄毛予防には食事習慣の改善が必要不可欠ですが、食事を変えても薄毛予防の効果がなかなかあらわれない方もいらっしゃいます。この場合、食事のほかにも原因があることが考えられます。次の項目に当てはまるような方は、効果があらわれにくい傾向があります。
・肥満体質である
・喫煙習慣がある
・過度の飲酒をする
・日常的に頭部を圧迫している
以下では、それぞれについてさらに詳しくご説明します。
◇肥満体質である
肥満体質の方は、代謝が落ち血行不良を引き起こしていることがあります。代謝が悪いと、頭皮がダメージを受けたときにも回復が遅くなります。細胞の生まれ変わりのサイクルも長くなるため、新しい髪が生えるのにも時間がかかってしまいます。
また、一般的な体形の方と比べて皮脂の分泌が多いため、毛穴が詰まりやすい状態となり、頭皮の健康を保ちにくくなります。
体温調整や内臓を動かすのに余計に血液が使われてしまい、頭皮への血流が少なくなってしまうことも考えられます。
◇喫煙習慣がある
たばこを吸うと、血液中の酸素量が著しく低下します。これにより、頭皮へ流れる血液が酸欠状態となり、きちんと栄養素を運ぶことができなくなっている可能性があります。
◇過度の飲酒をする
アルコールの分解には、多くのビタミンB群が消費されます。また、肝臓に血液が集中するため頭皮への血流が落ちてしまいます。
◇日常的に頭部の圧迫をしている
頭部を強く締め付けるなどの圧迫を日常的におこなっていると、頭皮へ流れるはずの血液がせき止められ、きちんと栄養素を届けることができなくなってしまいます。
上記に当てはまる方は、知らないうちに薄毛を助長してしまっている可能性があります。体質の改善や習慣の見直しで薄毛予防に取り組んでみましょう。
■美しい髪のベースは頭皮ケア!シャンプーから見直しを
食事習慣や体質・生活習慣を改善するのはなかなか難しいという方は、シャンプーを変えてみるというのはいかがでしょうか?頭皮ケアや保湿・エイジングケアのできるシャンプーに切り替えれば、毎日自然と頭皮環境を整えることができます。
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編集部おすすめのharuから発売されているシャンプー「kurokamiスカルプ」は、頭皮のケアだけでなく、ダメージを補修し髪にハリやコシを与える成分も配合されています。また、フケやかゆみを抑えて頭皮を清潔に保つほか、紫外線からも守る機能まで。つまり、頭皮を清潔・健康に保ちながら、外から受けたダメージを補修し、健やかな髪・頭皮へ導いてくれるのです。「kurokamiスカルプ」は天然由来100%でできており、低刺激のため肌が弱い方でも使うことができます。
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※シャンプーの直接の効果ではありませんが、リラックスすることは髪にも良い影響を与えます。自律神経が整うことでホルモンバランスも正常に保つことができるので、お気に入りの香りでバスタイムを過ごすのも大切ですね。
■まとめ
薄毛予防には、食事習慣が非常に大切だということがお分かりいただけたでしょうか?
身体は、その多くが食べるもので作られています。そのため、髪や頭皮だけに限らず、身体を健康に保つためには、食事習慣を正すことが必要不可欠なのです。
薄毛にとって良くない食事習慣や、積極的に摂るべき栄養素をお伝えしましたが、すべてを一気に変えることは難しいですよね。ひとつひとつ、身体の中から少しずつアプローチしていく必要がありそうですし、手軽にできることとして自分に合った、頭皮ケア用のシャンプーを試すのも良いでしょう。
シャンプーなど毎日の日常の中で自然に頭皮ケアを続けてみて少しずつでも効果を感じ始めたら、モチベーションが上がって食生活の改善も頑張れるかもしれませんよ。