子どもの頃から毎日当たり前のように入るお風呂。ついついシャワーだけで済ませてしまってはいませんか?
とくに子どもにとって、毎日の入浴で得られる健康面での効果やその他のメリットはとても大きいもの。
さらに高齢になった親の入浴で気をつけるポイントも含め、家族の健康を支えるためにも、入浴で得られる効果について知っておきましょう。
この記事の監修者:武井 智昭 院長(高座渋谷つばさクリニック 内科小児科アレルギー科院長)
慶応義塾大学医学部卒業後、平塚共済病院小児科医長を経て高座渋谷つばさクリニック_内科小児科アレルギー科院長。日本小児科学会専門医、指導医。臨床研修医指導医。インフェクションコントロールドクター(日本小児感染症学会)。現在、0歳から100歳までの「1世紀」を診療する医師として、家庭医として地域医療に従事しながら、メディア等での執筆・監修を多方面で行っている。医師+(いしぷらす)所属。
INDEX
■子どもにとって入浴はどんな効果がある?
お風呂に入ると、体がリラックスして疲れが取れる気がしますが、これは入浴することで得られる3つの健康効果によるものです。
◇リラックス効果
入浴で体を温めると自律神経の働きが整えられるので、深いリラックス効果が得られます。これはお風呂の温熱作用で体が温まると血管が拡張し、脳を含めた全身の血流が良くなるからです。
さらに、体の筋肉がほぐれて全身の緊張がゆるむため、疲れも取れやすくなります。
◇血行促進効果
お風呂に入ると体は水圧の影響を受け、心臓の働きが活発になります。すると、体全体に血液が行き渡るようになり、血行が促進されます。
血液だけでなくリンパの流れも活性化するため、むくみの解消にもつながります。
◇体にかかる負担の軽減効果
人間の体には重力がかかっているため、普段の生活では筋肉や関節に体重の負担がかかります。しかし、お風呂の中では浮力が働くため、筋肉や関節にかかる負担が軽減されます。
腰痛などの関節痛に悩まされている方にとっては、お風呂に入ることで毎日体にかかっている負担を定期的にリセットするのは大切です。
■健康に効果のある入浴方法
入浴の健康効果を高めるためには、入浴方法にも気を使いましょう。正しい入浴方法を守ることで、毎日のお風呂タイムがさらに充実します。
◇入浴前後に水分補給をする
お風呂に入ると汗をかくので、普段よりも脱水状態になりやすくなります。お風呂に入る前、入ったあとにはしっかり水分をとるようにしましょう。
脱水状態になるとめまいや頭痛、吐き気、たちくらみなどを引き起こすので、せっかくの入浴が逆効果となってしまいます。
特に、乳幼児や高齢者は脱水状態に気付きにくいので、家族が水分補給を気にかけてあげることが大切です。
冷たい飲み物はせっかくお風呂で温まった体を冷やしてしまうので、温かいお茶や白湯、常温のお水などがおすすめです。
◇お風呂とシャワーを併用するとさらに効率アップ
首や肩など、特に疲れを感じやすい場所は、シャワーを使って温めると効果的です!
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、熱めのシャワーで首や肩を温めるのが◎
熱いお湯で長時間全身浴をするのは脱水症状を起こしやすくなるほか、特に高齢の方は心臓に負担がかかりやすくなります。
シャワーでポイントだけ温めれば、体の負担は少なく済むでしょう。
■入浴時の注意点
疲れた体を癒してくれるはずのお風呂ですが、間違った入り方をすると命の危険につながることもあります。特に、高齢の方や子どもには十分な注意が必要です。
◇高齢の方が入浴する際の注意点
高齢の方の中には、「お風呂は熱いほど体に良い」と考えている方がいますが、これは大きな間違い。熱いお湯は心臓への負担が大きいため、長時間の入浴は厳禁です。
38℃から40℃程度のぬるめのお湯をはり、半身浴を習慣にすることがおすすめです。
また、特に気を付けたいのは冬場の入浴です。暖房の効いた暖かい部屋から、寒い浴室に急に移動すると、「ヒートショック」という現象が起こることも。
ヒートショックとは温度変化による血圧の急変のことで、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。冬になると、毎年ヒートショックによる死亡事故が相次いでおり、特に血管が弱くなっている高齢者はヒートショックの危険性が非常に高いのです。
ヒートショックを防ぐには、入浴時の温度変化をできるだけ小さくすることが重要になります。暖房で予め準備をするか、暖房がない場合はお風呂のふたを開ける、シャワーをしばらく流すなどで、浴室を温めておきましょう。
◇子どもが入浴する場合の注意点
子どもの入浴は常に目が離せず、注意が必要です。特に、乳幼児は頭が重くバランスが取りづらいので、一瞬目を離したすきにお風呂に沈んでしまうというケースがよくあります。
親が体を洗っているわずかな時間に、子どもが溺れてしまったという事件も毎年のように報告されていますので
髪を洗うなど、やむを得ず目を離さなくてはいけないときも、こまめな声かけをして、周囲の音に注意しましょう。
また、お風呂の温度も高齢者と同じように、高温での長時間の入浴は控えてください。
■まとめ
今回は子どもにとって湯船につかってじっくり体を温めることにどんな効果があるのかや、高齢の親の入浴で気をつけたいポイントなどをお伝えしました。
お子さんがいるとバスタイムは目が離せず、一苦労と感じる方も多いかと思いますが工夫をして、できるだけ楽しく、効率的にお風呂の時間を過ごしたいものですね。