「シャワーだけではなく、お風呂に浸かった方が良い」なんてことを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?実際、入浴時間が短いことを「烏の行水」と例えたり、昔からお風呂にしっかりと浸からないことにはあまり良いイメージがないのはなかったようです。
しかし、なぜお風呂に浸かった方が良いのかを知っている方は少ないかもしれません。本記事では、毎日お風呂に浸かった方が良い理由や、お風呂に浸かることで得られる健康効果をご紹介します。効果的なお風呂の入り方も併せてご紹介するので、是非チェックしてみてください。
この記事の監修者:田嶋 美裕 先生
循環器内科医。狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などの循環器疾患のほか、高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病全般の治療に携わる。女医+(じょいぷらす)所属。
INDEX
■お風呂は毎日浸かった方がいい?
お風呂に入る目的は、主に以下の3つになります。
- 身体を洗うため
- リラックス効果を得るため
- 身体を温めるため
目的だけ見ると、シャワーだけであっても何も問題がないように感じられるでしょう。しかし、シャワーでは得られないメリットがお風呂にはあるのです。シャワーのみの場合と比較してみると、お風呂に入った方がより多くのメリットが得られることが分かります!
- 汚れが落ちやすくなる
シャワーだけで身体を洗った場合、肌の表面の汚れは落ちていても毛穴の奥の汚れは落ちていないことがほとんど。対して、お風呂に浸かってから身体を洗った場合、身体が温まって毛穴が開いているので、毛穴の奧の汚れも落ちやすくなっています。毛穴に汚れが残ったままだと肌トラブルや体臭の原因にもなるので、お風呂に浸かってから身体を洗った方が良いでしょう。
- 自然とリラックス状態になれる
人がリラックスする際、必要なのは「温かさ」だと言われています。シャワーでも温まりますが、十分な温度とは言えません。体温が十分に上がらないということは、リラックスできないということ。すると疲労回復効果が望めないので、疲労の蓄積に繋がります。お風呂に浸かれば十分に体温が上がり、自然とリラックス状態に。疲労回復効果も得られます。
汚れを落とすのも、リラックスによって疲労を回復することも、毎日おこなうことが大切です。忙しいときは仕方ありませんが、できるだけ毎日お風呂に浸かるようにしましょう。
■お風呂に浸かることによる健康効果って?
前の項でお風呂に浸かることのメリットをご紹介しましたが、それは以下の3つの健康効果によるものです。なぜそのメリットが生じるのか、健康効果のメカニズムをご説明します。
◇温熱による作用
お風呂に浸かることにより得られる温熱作用は、単に体温が上昇するだけではありません。上述したように、体温の上昇はリラックス状態になりやすくなり、疲労回復効果を得られます。そして、皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がることで血行が促進。体内の老廃物が除去され、筋肉のコリや疲労が改善します。
温熱作用には発汗を促す効果もあるためデトックスも期待できますし、体温上昇による基礎代謝の向上でダイエット効果も期待ができるでしょう。疲労をとり心身ともにリラックスすることで、免疫力アップまで期待できます。
◇水圧による作用
お風呂に浸かることで得られる健康効果で、意外に思われがちなのが水圧作用。深い海などで作用しているイメージの多い水圧ですが、お風呂の中でも発生しているんです。
その力はなんとウエストが約3〜6cm 細くなるほど。それほどの力が全身にかかることにより、全身マッサージを受けているのと同じような効果を得られます。具体的には、足に水圧がかかることにより足にたまった血液を心臓に戻し、血液循環を促進してむくみの解消に。
◇浮力による作用
水の中で生じる浮力も、お風呂に浸かることで得られる健康効果の1つ。身体全体が浮いていなくても、浮力による恩恵を受けているのです。
首までお湯に浸かった場合、体重は実に約10分の1 にまで減少します。たとえば体重が50kgの人であれば約5kgとなり、その差である約45kgは浮力が働いていることになります。これはつまり、お風呂に浸かっている間は体重を支えていた全身の筋肉や関節が45kg分の重みから解放されているということになります。日ごろ自覚することのない筋肉や関節の負担を軽減することで、疲労の蓄積や故障などを防ぐことができます。
■効果的なお風呂の入り方!
ここまでご紹介してきたことで、お風呂に浸かると様々な効果を得られるということが分かります。では次に、効果を上げるための正しい入浴方法をご紹介します。
◇効果を上げるための、正しい入り方
効果を上げるための正しい入浴方法の手順は、以下の通りです。また、脱水症状になる危険性があるので入浴の前後に水分を摂ることを忘れないようにしてください。
- かけ湯をする
- ゆっくりと半身浴から全身浴に移行する
- 汗が額ににじんできたら、1度浴槽から出て身体を洗う
- 再度全身浴をする
- 汗が額ににじんできたら、お風呂から出る
- 水分を摂りながら、約30分休憩する
◇症状別の入浴方法
症状によっては、上でご紹介した入浴方法とは別の方法が効果的なこともあります。以下を参考に、自分の症状に合ったお風呂の入り方をしましょう。
- 疲労:38~40℃のお湯に20~30分浸かる
- 肩こり:40℃のお湯に約15分、肩までしっかり浸かる
- 便秘:38〜40℃のお湯に浸かり、お腹をマッサージする
- むくみ:40℃のお湯に20〜30分浸かる
- 腰痛:40℃のお湯に約15分浸かる
■まとめ
実は海外では、毎日お風呂に浸かる国はあまりありません。しかし、シャワーでは得られないようなメリットがお風呂には数多くあります。理想は毎日ですが、難しければ1週間に1回はゆっくりとお風呂に浸かれる時間を取ることをおすすめします。リラックスできて、健康効果も期待できるでしょう。
今回ご紹介した正しいお風呂の入り方を参考にして、バスタイムを楽しんでください。