年齢を重ねると、黒い髪の中に白髪が目立つようになり、気になると抜いてしまう人が少なくないでしょう。しかし「抜くのは良くない」、「抜くと白髪が増える」といった噂を耳にしたことはありませんか?
そこで、白髪に関する疑問や黒髪に戻る可能性について解説します。
■白髪を抜いたら増えるはウソ
そもそも白髪は、毛穴に存在するメラノサイトと呼ばれる色素細胞が、髪を黒くするメラニン色素を生成できなくなることによって生えます。つまり、白髪を抜いたとしても、抜くことが原因で減ったり増えたりすることはありません。白髪を抜けば、当然抜いてから一定期間は白髪がなくなりますが、再度同じ本数の白髪が生える可能性が非常に高いです。
さらに、髪は1つの毛穴から数本生えていることが一般的です。そのため、白髪を何度抜いても、同じ毛穴からはメラニン色素を生成できなくなった髪が生えるだけであり、白髪を抜いても白髪が増えることも、反対に減ることもないといえるでしょう。
■白髪は抜かない方が良い
白髪が気になっても抜かない方が良い理由の1つ目は、メカニズムから分かるように、白髪を抜いても白髪が減ることがないためです。白髪を抜いても、周辺に存在する毛穴のメラノサイトに変化は起こりません。抜いても痛みを感じるだけであり、白髪の悩みを根本的に解決することにはならないでしょう。
2つ目が、毛根への負担です。白髪を抜く際には、必ず痛みを感じます。抜くことによって痛みを感じるということは毛根がダメージを受けている証拠であり、炎症やかゆみといった頭皮のトラブルが起こる可能性が高いです。炎症が起こると毛穴から髪が生えなくなる、生えにくくなることがあり、白髪ではなく薄毛につながるため十分に注意をしましょう。
3つ目に、毛根の変形による脱毛が挙げられます。無理に白髪を抜くことによって、毛根に負担を与え、毛根の形が変わるケースがあるのです。毛根の形が変わると、新しく育つ髪がくせ毛になる可能性もあり、毛根が傷むと髪が生えてこなくなるリスクもあるため注意しましょう。
遺伝や老化が原因の白髪ではない場合、再度黒い髪の毛に戻るケースも少なくありません。白髪を抜いて毛根にダメージを与え、髪の毛が生えない状態になるよりも、黒い髪の毛に戻るまで待った方が良いでしょう。
■白髪は原因次第では黒に戻る!?
昆布やわかめといった海藻類を摂取することによって、髪が黒くなるという噂は医学的根拠がないものです。色の黒い海藻を摂取することで、同様に髪の毛が黒くなるという噂もありますが、こちらも残念ながら医学的根拠はない噂です。
昆布やわかめといった海藻には、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、健康な髪を生成するためには重要な栄養素だといえます。しかし、昆布やわかめを摂取することで白髪が改善するという噂は信じない方が良いでしょう。現段階では、いずれも研究結果が報告されていません。
心身のストレスや食べ物は白髪との関連性が深いと噂されるものですが、実際は解明されていないのです。白髪は老化との関係が深いことは言い切れますが、睡眠やストレス、食生活、喫煙といった生活習慣が100%白髪につながっているとは言い切れません。
そのため、必ず白髪を改善できるといった方法や、白髪の予防方法も存在しないごとが現状です。
しかし、生活習慣やヘアサイクルの乱れ、食事の栄養バランスの乱れによって、頭皮が健康な状態でなければ、一般的な人よりも早い段階で白髪が発生することはあり得ます。そのため、対策方法としては、体の内側から健康を維持することが、白髪を増やさず、発生を抑制することにつながるでしょう。
さらに、食事の内容と白髪の関連性については、大豆や乳製品に含まれるチロシン、牡蠣やレバーに含まれる銅といったメラニン色素の生成を促すために重要な成分を含んだ食材を積極的に摂取した方が良いでしょう。
白髪は、一生黒髪に戻ることはないという噂もあります。メラニン色素を生成できなくなっている状態であるため、白髪が抜けたとしても、次に生える髪の毛も白髪であることが一般的です。
ただし、病気やストレスによって、白髪が見られるケースもあるので、病気・ストレスの症状が改善されると、メラノサイトが正常に働くようになり、メラニン色素が再度生成されることもあります。
つまり、白髪になった原因によっては、黒髪に変化する可能性もあるのです。病気やストレス下に置かれている状態が長い間続いていると、メラノサイトは戻らなくなる場合がある点も認識しておきましょう。
■まとめ
現在、根本的に白髪を治療する方法は解明されていない状態です。そのため、白髪が目立っていたり、気になったりする場合には、白髪染めを使用したり短く切ったりすることで対処するほかありません。また、「白髪を抜くと増える」といった噂は根拠がありませんが、毛根と生えている髪は大切にしましょう。