仕事や子育て、体質など寝不足が続いてしまう原因は様々ですが、その寝不足によって髪がパサパサになることがあるのをご存知でしょうか?
髪表面の保護や栄養補給などは可能ですが、一度ダメージを受けた髪を完全に元どおりにすることはできないため、きれいな髪を保つにはダメージを与えないように気をつけることが重要です。
この記事では、寝不足が髪に及ぼす影響やパサパサになってしまった髪の損傷、きれいな髪をキープするための睡眠習慣を立て直す方法などをご紹介します。
寝不足とパサパサというキーワードで思い当たる節がある方はぜひ最後までお読みください。
この記事の監修者:川崎 加織 先生
皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本抗加齢医学会専門医。
「体の内外から美しくなれるクリニック」をコンセプトに一般皮膚科診療だけでなく、美容医療、頭髪治療なども行っている。またweb雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修などでも、多方面に活躍の場を広げている。
INDEX
■睡眠の質や寝不足が髪に及ぼす影響とは
まずは寝不足が髪に及ぼす影響をご紹介します。
また、これらがどのようにパサパサ髪に繋がるのかもあわせて解説します。
◇寝不足により新陳代謝が悪化する
理想の睡眠時間については様々な考えや研究結果がありますが、6時間未満だと睡眠不足と感じる方が多いようです。
睡眠不足の状態が長く続くと新陳代謝が悪化することが判明しており、この新陳代謝が原因で髪に悪影響を及ぼすとされています。
新陳代謝とは古い細胞が新しい細胞に入れ替わることを指し、普段耳にするのは肌の新陳代謝ですが髪にも同じことが言えます。
新陳代謝が悪化することで古い細胞が残り続け、今生えている髪にもこれから新しく生えてくる髪にも悪影響を与え、髪がパサつく原因になります。
◇成長ホルモンの分泌力が落ちる
寝不足が長く続くと成長ホルモンの分泌力が落ちていきます。
成長ホルモンの分泌量が減少すると、身体の中で特に必要な場所に成長ホルモンが運ばれますので、優先度の低い肌や爪、そして髪が真っ先に影響を受けるとされています。
成長ホルモンは睡眠中、特に眠りの深いノンレム睡眠中に多く分泌されているため、睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌量が減り、分泌力が落ちます。
しっかりと質とリズムの良い睡眠をとっている方と睡眠不足の方の成長ホルモンの分泌量には大きな差が生まれ、結果として髪も見てわかるほどの影響を受けることになりかねません。
◇毛根の活動低下
睡眠不足になると血管が収縮し、血管が正常な働きをできないことによって頭皮の活動も低下していきます。
髪を作る栄養は血管を通って頭皮に行き着きますので、やがて髪に悪影響を及ぼすことになります。
■パサパサ髪の裏で起こっている髪の損傷
では、一度パサパサになってしまった髪にはどのようなことが起こっているのでしょうか。
パサついた髪に起こってしまう見た目や扱いづらさ以外の影響をご紹介します。
◇毛髪同士の擦れ合いによる滑らかさの損失
パサパサな髪とは、つまり髪表面のキューティクルが乱れて髪の水分が失われている状態。
キューティクルの乱れた状態で髪同士が擦れてしまうことで、さらにキューティクルの欠損は加速し、髪本来の滑らかさを失ってしまいます。
髪に良いと思っておこなっているブラッシングも、髪の状態によってはダメージを与える原因になっていることもあります。
◇毛髪の空洞化
髪表面のキューティクルが乱れることによって、髪内部のコルテックスやメデュラもダメージを受けやすい状態となっています。
その結果、髪の毛が空洞化し、水分もキープできないのでさらに髪のパサつきが悪化していきます。
◇髪のタンパク質の断裂
髪に栄養が行き渡らないことで髪のタンパク質が断裂し、髪の毛が切れやすくなってしまいます。
寝不足の方で、枕に髪の毛がついているものの抜け毛ではない時は、タンパク質の断裂による切れ毛かもしれません。
■髪を守るためには、睡眠の質をどのように立て直すべき?
ここまで、睡眠不足が髪に悪影響を与える理由についてご紹介してきました。
最後に、髪を守るためにどのようにして睡眠の質を良くしていくのかをご紹介します。
◇睡眠は、とにかく長時間眠れば良いというわけではない
「睡眠は量よりも質」こんな言葉を聞いたことはないでしょうか?
この言葉からもわかるように、ただ長時間寝ればいい睡眠が取れたというわけではありません。
良い睡眠とは、繰り返されるノンレム睡眠とレム睡眠の中でも、特に眠りが深いとされている1~2回目のノンレム睡眠の質によるといわれています。
もちろん、どれだけ睡眠の質が良くてもある程度の睡眠時間は必要ですが、時間よりも睡眠の質に注目するべきと言えます。
よくテレビなどでも触れられているように、お酒を飲んでバタンと寝るのは一見深い睡眠のように見えますが、実は浅い眠りであることが多いです。
◇決まった時間・同じ時間で規則的な睡眠を取ることがポイント
人間の身体には体内時計があるといわれており、眠りを深くするにはその体内時計で睡眠の時間を管理することが重要です。
夜寝るのがいいのはもちろんではありますが、仕事の関係などで難しい方もいるかと思います。
そんな方にもぜひ意識していただきたいのが、「同じ時間に睡眠をとること」です。
寝る時間と睡眠時間をなるべく毎日同じサイクルで生活をおくることで体内時計が正確になるといわれています。
睡眠時間だけではなく、食事なども含めて規則正しい、リズムの整った生活をすることで身体の新陳代謝が良くなり、睡眠不足による髪へのダメージも防ぐことができます。
■まとめ
睡眠不足の状態が続くと髪に悪影響があり、もちろん体調を崩してしまう可能性もあります。
しっかりとした睡眠時間を確保できない方や夜寝ることが難しい方でも、なるべく毎日同じサイクルで生活をおくることで体内時計が正確になり、睡眠の質が良くなります。
睡眠不足だと感じている方は、ぜひ生活リズムと睡眠の質を意識して生活してみてください。