お風呂は身体の汚れを落とすだけでなく、リラックスできる貴重な時間ですよね。ただぼーっとお風呂に入るのもいいのですが、血行が良くなっている状態で何もしないのはもったいないです。
そこで、身体に良い効果が期待でき、なおかつお風呂の中で簡単に出来るストレッチ方法があります。本記事では、お風呂ストレッチの効果と、具体的なストレッチ方法について解説します。
この記事の監修者:近藤 千種 先生(内科医)
2013年帝京大学医学部卒業。日本抗加齢医学会専門医。出身地である愛知県下の病院で内科医として診療に従事すると同時にセルフケアやアンチエイジングについてメディアへの出演・寄稿を通じて啓蒙活動を行なっている。
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■お風呂でストレッチすることの効果
お風呂でストレッチをすると得られる効果は、以下の3つがあります。どれも身体にとって良いことばかりなので、お風呂の時間を有効に使いましょう。
◇血行促進
お湯に浸かりながらストレッチをすると、血行が促進され、老廃物がスムーズに排出されます。老廃物はむくみの原因ですが、老廃物や余分な水分が血管を圧迫し、血行が悪くなると冷え性を引き起こします。つまり、お風呂のストレッチは、むくみと冷えを同時に緩和できるので一石二鳥です。
◇身体が硬くても無理なくストレッチが可能
お風呂で身体が温まると、筋肉も同時に温められて柔軟性が増し、運動に適した状態になります。血行が良くなると身体の代謝もアップするので、ストレッチによるエネルギー燃焼効率も高くなるのです。
◇疲労回復
1日中働いた身体は筋肉が凝り固まったり、足がだるくなったりするはずです。お風呂の中でストレッチをすると、水圧によって疲労物質が流れやすくなり、疲労回復効果が高まります。
■足腰まわり効果があるお風呂ストレッチ
歩き回る仕事やデスクワークなど、足腰まわりは筋肉が固まりやすく、疲労が蓄積する部分です。足腰まわりが疲れたときは、以下の5つのストレッチ方法を実践しましょう。
◇背伸び
両手を組んでまっすぐ上に伸ばす背伸びは、腰回りやインナーマッスルの強化、猫背にも効果があります。
<背伸びのやり方>
・指と指を絡ませてお祈りの形にする
・組んだ両手を上に上げ、手のひらを上に返す
・腕を両耳につけながら、上へと押し上げる
・ゆっくりと元に戻す
また、あごは下げずにまっすぐ前を見て、呼吸をしながらお腹を軽く凹ませると体幹も鍛えられます。
◇股関節のストレッチ
上半身と下半身をつなぐ股関節は、固くなってしまう方も多いでしょう。筋肉が柔らかくなっているお風呂時間なら、よりストレッチしやすくなります。
<股関節のやり方>
・両足の裏をくっつける
・かかとを限界まで身体に引き寄せる
・そのままでひざをゆっくり下げる
・痛みが出ない限界まできたら、そのまま3秒キープ
・ゆっくりと元に戻す
ひざを下すときに反動をつけない、背中はまっすぐ伸ばす、身体はリラックスさせるのがポイントです。
◇足のばし
湯船に座ったままつま先まで伸ばす足のばしは、ふくらはぎの血行を良くし、疲労回復に効果的です。
<足のばしのやり方>
・上半身を直角にキープし、足をまっすぐ前に伸ばす
・そのままつま先で物を押すイメージで足を伸ばす
・ふくらはぎに刺激を感じたら、そのまま3秒キープ
・ゆっくりと元に戻す
ふくらはぎのストレッチはやり過ぎると疲労感につながるので、5回以内にとどめることが大切です。
◇足首回し
足首を回すストレッチは、足首の捻挫を防止する効果が期待できます。
<足首回しのやり方>
・片足を90度に曲げて太ももに乗せる
・乗せている足を手で持ち、時計回りに大きな円を描くようにゆっくり回す
・片方の足も同様に回す
足を回す際は、できるだけ足の指を持つこと、足に力を入れず手だけで回すのがポイントです。
◇指折り
足の指を曲げる指折りは、足裏の筋肉を効率よくほぐすことが出来ます。足裏の筋肉は固いアスファルトを歩くことで固まりやすいので、仕事で歩く機会が多い方におすすめのストレッチです。
<指折りのやり方>
・片足のひざを上げて座り、足と反対側の手で足の指を握る
・そのままひざの方向にぐっと折り曲げる
・足裏に刺激を感じたら停止する
・ゆっくりと元に戻したら、片方の足も同様におこなう(1回7秒を目安)
足の指を曲げる際は、足に力を入れずリラックスした状態にすると効果的です。また、うまく曲げられない場合は、つま先をひざの方に持っていき、指で押しても構いません。
■身体を洗いながら出来るお風呂ストレッチ
お風呂ストレッチは湯船の中だけでなく、身体を洗うボディタオルやあかすりタオルを活用する方法もあります。洗い場で全身を使うストレッチは、全身のコリや疲れを取るのに効果的です。そこで、身体を洗うついでに出来る、おすすめのストレッチ方法を5つご紹介します。
◇肩・胸・お腹のストレッチ
タオルの両端を持ち、両腕を真上に上げてから、斜め上を見る感じで上半身を反らしましょう。胸からお腹までをしっかり伸ばし、気持ちいいと感じるくらいがベストです。
◇背中のストレッチ
タオルの両端をしっかり持ち、両腕を肩の高さに上げて前に押し出すように、背中を丸めてストレッチします。ひざを軽く曲げて、頭を下にしておへそを見るようにするのがポイントです。
◇肩・腕のストレッチ
背中を洗うときと同様にタオルの両端を持ち、手に絡めるようにしてしっかり持ちましょう。肩側の手は固定したまま、腰側にある手をゆっくり下に引き、肩と二の腕をストレッチします。
◇ふくらはぎのストレッチ
お風呂の椅子に座り、タオルの中央をつま先に引っ掛けます。手に持っているタオルの両端を手前に引きながら、ひざを伸ばすことでふくらはぎをストレッチできます。
◇太もも裏側のストレッチ
ふくらはぎのストレッチの状態から、上半身を前に倒すと太ももの裏側を伸ばします。ストレッチの負荷を上げたい場合は、足を床から少し上げた状態でおこなうといいでしょう。
■まとめ
お風呂で身体を温める血行が良くなるうえに、筋肉の柔軟性が増し、身体の代謝も上がります。運動効果とエネルギー燃焼効率が高まるので、ダイエット効果も期待できるでしょう。
湯船の中でおこなうストレッチは、足を伸ばせないので、足腰まわりを中心におこなうのがベストです。身体を洗う最中やお風呂から出たあとは、タオルを使ったストレッチをプラスとより効果的です。運動不足の解消や疲労回復に、お風呂のストレッチをぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?