お湯に浸かって身体が温まったあとは、ストレッチをする絶好のタイミングといわれています。しかし、お風呂上りのストレッチはどんな効果やメリットがあるのか、気になっていたことはありませんか?
この記事では、お風呂上りのストレッチのメリットや効果、基本ルールと注意点について紹介します。美容やダイエットに興味のある女性は、お風呂上りのタイミングを有効に使いましょう。
この記事の監修者:井上 留美子 先生
整形外科、リウマチ、リハビリ、スポーツ認定医。
日々の整形外科診療において、怪我の予防、薬や注射では治せない運動器の痛み、年齢と共に起こる身体の変化と、いかにうまく付き合うかを念頭に、体作りの基本・運動指導に力を入れている。身体作りの基本となる整形外科ヨガを発案し、ヨガクラスを提供している。女医+(じょいぷらす)所属。
INDEX
■お風呂上りのストレッチはメリットがたくさん!
お風呂上りにストレッチをおこなうと、次のようなメリットが得られます。
◇筋肉が伸びやすく、柔軟性が高まる
そもそもストレッチとは、筋肉を伸ばして可動領域を広げることです。お風呂で身体が温まると固まった筋肉がほぐれるため、この状態でストレッチをすると効率よく筋肉が伸びます。また、ストレッチをした部位の柔軟性が高まるので、ケガの予防も期待できるでしょう。
◇むくみを和らげる
身体が温まると、血液とともにリンパの流れも良くなります。ストレッチをすると体内に溜まったリンパが流れ、むくみを和らげることにもつながります。
◇脂肪燃焼が期待できる
お湯で身体を温めると新陳代謝がアップし、脂肪燃焼効果が期待できます。さらにストレッチによってエネルギーが効率よく消費され、ダイエット効果も得られるでしょう。
また、デスクワークをしている方は、足の付け根や太ももの筋肉が固まりやすい状態に。ストレッチで股関節の可動領域が広がり、下半身太りになりにくくなることも期待できますよ。
◇自律神経を整えてリラックス
ぬるめのお湯に浸かると、副交感神経が優位になり自律神経が整います。リラックスした状態でストレッチをすると、筋肉がさらにほぐれやすくなり血行が促進されます。
◇寝つきが良くなる
お風呂上りのストレッチで自律神経が整うと、心身ともにリラックスでき、寝つきが良くなります。また、ぐっすりと眠れると成長ホルモンが分泌され、疲労回復や痩せやすい身体作りといった相乗効果も期待できるでしょう。
■お風呂上りのストレッチの基本ルール
お風呂上りのストレッチは、次の基本ルールに沿っておこなうと効果的です。
◇【呼吸】息は止めず、呼吸は深く自然に
ストレッチをすると息を止めてしまいがちですが、自然な呼吸を続けることで筋肉がよく伸びます。息を止めると筋肉が固くなってしまい、適切な効果が得られないので注意しましょう。
◇【順序】心臓に近い場所から行う
一般的に、ストレッチは心臓から遠い場所からはじめるとよいといわれています。
その理由とは、筋肉を刺激すると血行が良くなり、心臓から送り出す血液が増えて心臓に負担がかかるためです。
一方、お風呂上りは筋肉がほぐれており、血行も良い状態なので、心臓に近いところからストレッチをしても問題ないのです。
ただし、身体が冷えている場合や、高齢者などで身体に負担をかけたくない場合は、心臓から遠い位置からおこなうといいでしょう。
◇【スピード】身体はゆっくりと徐々に伸ばす
勢いをつけて筋肉を急激に伸ばすと、筋肉の中にある筋紡錘(きんぼうすい)がケガを予防するために筋肉を縮ませようとします。筋肉をしっかり伸ばすためには、ゆっくりとした動作でストレッチをおこなうことがポイントです。
◇【時間】伸ばした状態で20~30秒キープ
身体を伸ばしたときに気持ちいいと感じるところで、20~30秒をキープするのがポイント。痛いと感じると防衛本能で筋肉が逆に硬くなるので、無理に伸ばさないようにしましょう。
■お風呂上りのストレッチの注意点
お風呂上りにストレッチは、次の注意点を踏まえておこないましょう。
◇入浴後20分以内におこなう
お風呂から出たら、20分以内にストレッチをおこなうのが最も効果的です。身体がしっかりと温まっているうえに、血行や代謝がいい状態なので、ストレッチの効果を得る効率的なタイミングといえます。
◇継続してはじめて効果が出ることを理解する
ストレッチで身体の変化を実感するには、継続しておこなう必要があります。
ただし、毎日続けるためには、無理のない範囲でおこなうことが重要。まずは10分程度の短い時間からはじめ、慣れてきたら内容を増やしたり、時間を長くしたりするといいでしょう。
また、テレビを見ながら、音楽を聴きながらなど、気軽な気持ちでおこなうと無理なく続けられるはずです。
◇強い痛みを感じたら力を緩める
ストレッチは身体を単に伸ばすだけでなく、筋肉を意識しながら、痛気持ちいいくらいの強さでおこなうのがベスト。伸ばしている途中で強い痛みを感じたら、筋肉が伸びすぎているサインなので、一度力を緩めましょう。
筋肉が伸びすぎると筋肉痛の原因になり、リラックスどころではなく逆効果になるので注意が必要です。
■まとめ
お風呂上りは筋肉がやわらかく、血行もいい状態なので、ストレッチをするのに最適なタイミングです。筋肉が効率よく伸びる、むくみの緩和、脂肪燃焼効果、疲労回復、自律神経が整ってリラックスできるなど、たくさんのいい効果が期待できます。
効果的なストレッチをおこなう際は、基本ルールを守ることが重要。強い痛みを感じると筋肉が反射的に硬くなるので、痛気持ちいいくらいを目安にしましょう。
また、体型の変化を求めるなら、ストレッチを継続することが大切です。お湯に浸かるときの習慣にすると、健康的な生活を送れるでしょう。