癖やうねりが強い毛や白髪を見つけると、つい抜いてしまいたくなりますよね。1本だけなら大げさな処理をするのも面倒ですし、抜くことによって髪質が良くなると考える方も少なくありません。しかし、髪を抜き続けると恐ろしい症状を発症する可能性があるため、安易に抜いてしまうのは危険です。
本記事では、髪を抜くことと髪質の関係性や、髪を抜き続けることで発症する病気、対策方法についてご紹介します。
INDEX
■髪を抜くことで髪質は良くならない!
ときどき「髪を抜くと髪質が良くなる」といった情報を耳にすることがありますが、これは真っ赤なウソです。それどころか、髪を抜くことで毛根が強いダメージを負い、炎症を起こしている状態になります。これにより、次に生えてこようとする髪の力が弱まり、結果として薄毛のリスクが高まってしまうのです。つまり、髪を抜くことは髪や毛根の寿命を縮めているのと同じなのです。
また、髪を抜くことが癖になってしまうと、薄毛とは別に恐ろしい病気につながる可能性もあります。
■髪を抜く癖は“抜毛症”の可能性も!?
髪を抜くのが癖になっていたり、無意識に髪を抜いたりする場合は「抜毛症(ばつもうしょう)」の可能性があります。基本的には全ての体毛が対象となりますが、症状として最も多いのが髪の毛です。髪の毛を抜くことに没頭し、他人にもわかるような脱毛状態になる慢性疾患のことをいいます。
◇抜毛症の症状
抜毛症の人は「髪の毛を抜くのは良くない」と理解はしているものの、抜く行為を自分で抑えることができません。髪の毛を抜く前に緊張が高まり、抜いた瞬間に開放感や満足感が得られるため、なかなかやめられないというのが特徴です。
そのため、自分で制御できないという苦痛や否定的な感情に悩まされ、私生活および社会的に影響を及ぼすこともあります。
女性の場合は、女性ホルモンの影響で症状が現れる場合もあるので、月経周期や閉経のタイミングにあわせて悪化する人も多いようです。
◇抜毛症の分類
抜毛症は大きく「自覚している場合」と「自覚していない場合」の2種類に分けられますが、ほとんどの場合は両方が組み合わさっています。また、抜毛症の35~40%の人は抜いた髪の毛を噛んだり飲み込んだりしており、毛髪胃石や腸閉塞、栄養失調などを引き起こすこともあるようです。
<自覚のある抜毛>
髪の毛を抜いているという意識があり、精神的な衝動やかゆみ、ヒリヒリ感、思考をストップさせるためなど、さまざまな理由で髪の毛を抜いている。
<無自覚の抜毛>
何か作業をしているときなど、無意識のうちに髪の毛を抜いている。
◇抜毛症の原因
抜毛症の原因はさまざまですが、1/4以上の人はストレスが関係しています。たとえば、親子関係が良好ではない、1人で取り残されるような恐怖感、大切な人を喪失した絶望感など、強いストレスが発症のきっかけになるといわれています。
また、抑うつ気分が抜毛症を誘発するという意見もありますが、これといった特徴的な疾患やパーソナリティ属性がないのが現状です。
■抜毛症を和らげる対策方法について
「もしかして抜毛症かも…」と思ったら、まずは以下の対処方法を参考にしてみましょう。
自力で抜毛症を和らげる方法もありますが、既に抜毛の衝動を抑えられないようであれば、はじめから病院の診察を受けるのがおすすめです。
◇病院に行って診察してもらう
いちばん確実で手っ取り早いのが、病院に行くことです。
抜毛症の治療は精神科医と皮膚科医が連携しておこない、局所のステロイドや抗うつ薬、抗精神病薬などを使用するのが一般的です。
また、病院に行くという行為がストレスの軽減につながる場合もあるので、無理に自分で治そうとするのではなく、気軽に出向いてみましょう。
◇癖を別のものに置き換える
髪の毛を抜くこと以上に気持ちが良い癖を身に付けるという方法です。
たとえば、髪を抜きたいと思ったらペン回しをするとか、触り心地の良いクッションやぬいぐるみを触るなどがあります。
どんなことでも両手が一定の間だけ塞がれば良いので、自分が楽しめる癖を見つけてみましょう。
また、抜毛症の人の4割がストレスを抱えていることから、ウォーキングやヨガといった適度な運動を習慣にしたり、十分な睡眠時間を確保したりするのも効果的です。
■まとめ
1~2本のくせ毛や白髪はつい抜いてしまいたくなりますが、抜いてしまうと毛根に大きなダメージを与えてしまいます。たとえ本数が少なくても薄毛になるリスクは大幅に上がりますので、できるだけ抜かないよう心がけましょう。
また、既に髪の毛を抜く癖が付いてしまっている場合は抜毛症の可能性があります。このまま放置すれば私生活にまで影響を及ぼす危険がありますので、抜毛に代わる癖を身に付けたり、病院の診察を受けたりして、早めに対処するのがおすすめです。
そして、適度な運動や睡眠時間なども考慮し、ストレスを上手に発散していきましょう。